現代兵法とは

現代の戦いを生き抜くすべとして

法とは
「戦における戦略・戦術」を意味する言葉であり、日本においては「〇〇流兵法」のようにしばしば“剣術”と同じように使われます。

これに対し、かの宮本武蔵は兵法をただの剣技や戦の知恵とは見ていませんでした。最晩年にまとめた五輪書において「いづれの道におゐても、人にまけざる所をしりて、身をたすけ、名をたすくる所、是兵法の道也(現代訳:いずれの道においても、人に負けないところを知って、身を助け名を助けるところ、これが兵法の道である)」と述べています。

“いづれの道”とは「あらゆる局面」とも解することができ、またこの文章の直前には兵法を体得した場合、どのようなシーンで相手に勝てるかという例がいくつか示されています。「複数相手」「人材登用」「指揮命令」「政治」「経済」「法律」など、もはや武術と無関係と思える場面ですら、自身の兵法を修めることで勝つことができるとしています。
時代も異なりますし、誇張も入っているのかもしれませんが、単なる格闘技の勝ち負けを超え、人生のあらゆる場面に対してどう対処するか(自分の体と心、名誉をどう守るか)、そして、そのように対処できる自分をどう作り上げるか。武蔵が兵法を非常に広い視野で捉えていたことがわかります。

一方、ここ十数年の日本に目を移すと、急速に変化する社会環境や世界情勢に呼応するかのように、人々の価値観もまた大きく揺らいでいるように感じられ、その影響もあってか、ストレスや不安、迷いといった精神的脅威に多くの人がさらされています。それに加え無差別に人々を襲う凶悪事件も散見されることから肉体的脅威も無視できず、現代人が備えるべき自己防衛の分野は極めて広範になったと言ってよいでしょう。
また、人口の高齢化がますます進み、いかに健康で一生を終えるかという課題は全ての人に共通のものになりつつあります。

すでに武士は過去のものであり時代劇のような合戦は存在しませんが、私たちが日々直面する多様な脅威や課題への対応は、現代における戦いと言えるのでないでしょうか。
弓矢が飛んでくるわけではありませんが、それとは異なる厳しさがある現代人の戦(いくさ)。ここを生き抜く方法を温故知新の心で見出しという発想から「現代に通用する兵法を」という想いを込め、“現代兵法”と命名しました。

武蔵があらゆる局面で勝とうとしたように、悪意のある他人からの脅威、自分自身の内面からの脅威、その他、ストレス社会である現代の様々な問題に適切に対処して自分と、自分が守りたいと望んだものを守る。
現代兵法が目指すのは「人生を少しでも豊かにし、心和む時間を増やすこと」にあります。